時間を止めたり、巻き戻したり、早めたり、人生に魔法なんてないけど、無いものねだりとわかっていても、
願ってしまうのが、私、花子の学生時代。
それは、もしかしたら、誰もがそうなのかもしれないけれど、、
楽しかったあの頃を何回も巻き戻し、逆にこれから起こるであろう、辛い事や嫌な事は、
早送り出来る魔法のボタンがあったなら、、、
想い出の中、未来を行き来出来る、魔法のボタン。
そう思うと高校時代の乙女な私は、何遍、魔法のボタンを押し、想い出の木を揺らしただろうか?
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
秋の匂いを含んだ風が、鼻先をかすめる季節、高校最後の体育祭が行われた。17才の私。
2クラス合同で選ばれた応援団の1人だった私は、毎日学校の近く加茂川の河原に集まってダンスの練習づけ。
河原には、遊具や屋根のついたベンチもあり、何より木々に遮られた道路からは、練習がほぼほぼ見えない、
だから思春期の私たちには秘密っぽくって好きだった。汗ばむ身体、轟く音楽、疲れた笑顔。
団員の1人がプロダンサーと友達で、ジュース1本とお菓子1つという
何とも破格のギャラで私達にダンスを教えてくれたのもラッキーな事。
ダンスでキモになるのは【振り付け】、プロからヒントを与えられた私達は、他のチームより絶対に上手く踊れる自信があり、意気揚々と当日を待ち望んでいた。
体育祭前日、河原からの帰り道。
夏の暑さが残る湿った空気に包まれていても、9月の夕暮れは既に薄暗く、どこか物悲しい。綾子を自転車の後ろに乗せながら仲間との他愛無いバカ話、笑い声に終わりがない。家々からの夕飯の匂い、車輪の回る音、それだけで人生は大満足だ。
『幸せ過ぎて、この日に戻りたいと、いつか絶対思う。時間が止まれば良いのに』
私は時間を止める魔法のボタンを本気で願い探しながら、自転車のハンドルを汗ばむ手で握りしめていた。
それは今でも河原の匂いが鼻を掠めるだけで、魔法のボタンが押されるようにあの時が蘇る。
薄暗い夜の始まりなのに、色鮮やかに想いがよぎるのは、心に強く、眩しく、色濃く残っているから、、、
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
高校時代の加茂川、あの蒼い時に留まらず、私の人生には沢山の宝物が眠っている。
「時間よ止まれ」と願う幸せな瞬間は、いつもいつも晴れの日だけとは限らない。
それは、当たり前の家族との会話、満たされた仕事終わり、成長した娘の姿、仲間とのランチタイム。
決して劇的な瞬間でなくても、目を凝らせば、ここだよ!ここ!といつも手招きしてる。
人生で確かな事がある。それは〝誰もが一瞬、一瞬をいつも失い続けながら前に進む〟無常。
どんなお金持ちだろうと、その一瞬は未来と引き換えだ。
逆に言えば、前に進む以上、何か失わなければ進めない。
時は誰かに優しい訳でなく、皆、平等に残酷なのだ。
生きる者の宿命であり、戻れはしないもどかしさ。
誰かとケンカし悲しかったあの日も、実は、輝き満ち足りていたのだと、
少し大人になってから、いつしか気がついた私、花子。
加茂川での爆発するような青春という時、そんな毎日はいつもいつも無いけれど、過ぎてみれば、『最高に幸せな時だったんだ』という尊い時。輝きは今そこに在る、という事をあの体育祭が語りかけてくる。私はそれを書物や学問から身につけた訳でなく、体験という輝ける日々から学んだ。
「今こそ最も輝いている」という私なりの真実。
たがらこそ、この言葉は手垢まみれにはならない。
河原独特の匂いが無くならないように、この先も〝10代の宝物〟として寄り添ってくれる。
不安で震えた夜、越えれない高い壁、
喜びも、痛みも、すべて糧となり、確かな足跡とかさぶたを私の人生に残してくれている。
17の私がいつの間にか、45才の弱い私の背中を押してくれる。
だから、
あの頃の私に『大丈夫だ、最高だ』と伝えてあげたい。
何処に行きたい
いつか見た夢を温める
人生の隙間に、誰もが願う、
『戻りたい、、、』という無いものねだり。
それは、生きている証、今を逃避してる訳じゃない。
『大丈夫だ、最高だ』
といつかのアナタに、そっと、伝えてあげたら良いよ
輝き続ける想い出の木、枯れる事なく眩しいのだから。
hanako
新潟県三条市出身 兵庫県伊丹市在住
ヨガインストラクター歴14年
【受講歴】
アナトミック骨盤ヨガ®︎指導者養成講座修了
アナトミック骨盤ヨガ®︎アドバンスコース修了
ヘッドショルダーセラピスト養成コース修了
実践ヨガ解剖学基礎講座〈入門編〉〈実践編〉
ヨガ解剖学データベース40
ヨガ×怪我疾患総合講座全課程修了
シニアヨガ指導者養成講座修了修了
ヨガトレーナープロコース修了
ヨガ解剖学セラピー
旧・アナトミック骨盤ヨガ指導者養成講座修了
6日間ヨガ解剖学ティーチャーズトレーニング
その他